シニア犬が軟便に見舞われることは珍しいことではありません。犬が年を重ねてシニア犬になると体も変化しますし体力も低下します。そして、消化器系の機能も若い頃と同じく元気というわけにはいかなくなります。シニア犬の軟便は、一過性のものもあれば、病気や感染症などの健康上の問題のサインであるケースもあります。
この記事では、シニア犬が軟便をしている場合の原因と対応策、そして予防方法について詳しく説明していきます。シニア犬の快適な生活をサポートするために、飼い主が知っておくべき情報を解説いたします。
シニア犬の軟便の原因は?
シニア犬・老犬が軟便をしてしまう原因は多岐にわたります。
年齢を重ねてシニア犬になると消化器系が若い頃より機能が低下してしまいますし、些細な環境の変化にも敏感に反応するようになります。その結果として軟便を引き起こすことがあります。
原因として考えられるものには以下のケースがあります。
食べ物に問題がある:シニア犬の身体に合っていない脂肪分や繊維質が多い食事を与えていたり、そして、食事の内容を急に変えたりすると軟便を引き起こすことがあります。また、1度で与える食事の量が多すぎると消化不良を引き起こしてしまうことがあります。
消化不良: シニア犬になると、消化機能は低下します。消化酵素の減少や腸内環境の変化などによる消化機能の低下が、食べ物が消化できない原因となり、結果として軟便を引き起こすことがあります。
内臓疾患: 疾患のサインとして軟便を引き起こすことがあります。炎症性腸疾患や腎臓病など、獣医師の診断が必要な場合があります。
寄生虫や感染症: 回虫や条虫など、寄生虫の感染も軟便の原因になります。また、ウイルスや細菌に感染している場合も同様です。
ストレス: シニア犬はとてもデリケートです。些細な環境の変化や不安などがストレスにつながり軟便を引き起こすことがあります。
薬の副作用: シニア犬が薬を飲んでいる場合、一部の薬の副作用で軟便を引き起こすことがあります。
シニア犬が軟便をしているときの対処法
シニア犬が軟便をしている場合、原因を特定して対処する必要があります。軟便は身体からの何らかのサインであることは間違いありません。放置せず、様子を観察して対処しましょう。
食事の見直し: 食事が原因だと考えられる場合は、脂肪分や繊維質の多い食事や若い頃と同じフードを与えている場合などです。まずは、消化に優しい食事に切り替えましょう。高品質のシニア用フードもありますし、カボチャや鶏肉などを加熱して細かく切った物を与えるのもいいでしょう。
そして、食事の回数を増やして一回あたりの量を減らして内臓への負担を軽減するのも有効です。食事は軟便と密接に関係しているため、軟便や下痢をしている場合はまずは食事を見直してみてください。
適切な水分補給: 軟便の場合、脱水症状を引き起しやすくなっています。十分な水分補給が重要です。常に清潔で新鮮な水を飲めるようにしてください。軟便は、水分が多く含まれているためその分、身体から水分が奪われている状態です。そのため、軟便をしているときは普段よりたくさん水を飲むことになります。飲料水の減りや汚れがないかをこまめにチェックしてください。
ストレスを減らす: シニア犬は特に些細な環境の変化にも敏感です。急激な環境の変化や新しいペットのお迎えなどがストレスになることもあります。心当たりがある場合は、ストレスケアをしてあげましょう。新しいペットのお迎えがあった場合は、シニア犬を優先してあげること。また、小さなお子さんがいるご家庭の場合は、子供が犬にストレスをかけないように注意することも大切です。
安静にする:シニア犬であっても適度な運動は必要です。ですが、軟便をしている場合で原因が特定されていない場合は、過度な運動は控えたほうがいいかもしれません。もちろん、ずっとゲージの中に入れておいたり、室内にいたりするとストレスがたまりますので身体を動かすことは必要です。ですが、シニア犬の様子を見て適度に運動を取り入れましょう。
獣医師に相談する:軟便が続いている場合や嘔吐などの症状を併発している場合、そしてひどくなっている場合はすぐに動物病院を受診し獣医師に相談しましょう。様子を見すぎて手遅れにならないように早めに獣医師の診断を受けることが大切です。
軟便の予防方法は?シニア犬のために普段からできること
シニア犬の軟便をできるだけ予防するためには、以下の点に注意することが重要です。軟便をしてからの対処法だけでなく普段の生活の中でできる予防をしておくようにしましょう。
定期的な健康チェック: シニア犬の免疫機能や体力が低下するため、健康状態を定期的にチェックすることが極めて重要です。内臓疾患や寄生虫の感染といった疾患である場合は獣医師の診断が欠かせません。
適切な食事: 栄養価が高く消化に良い質の食事にすることでもシニア犬の健康をサポートできます。欲しがるからといって高カロリーで脂肪分か多いものを与えないようにしまししょう。
ストレスの管理: シニア犬のストレスを可能な限り軽減するための工夫を心がけてください。清潔で快適な寝床を用意すること、適度な運動も重要です。また、分離不安もストレスに原因になりますので、1人でお留守番する時間が長くなりすぎないようにしてあげましょう。軟便になってから環境を整えるより、普段からストレスがないようにしてあげることで軟便の予防ができます。安心できる環境を整えて、年老いたシニア犬が安心して過ごせる環境を整えてあげてください。
消化器サポートのサプリメント:最近では、ペット用のサプリメントが発売されています。中には、消化を助けるサプリメントもありますので、シニア犬の軟便予防に有効です。腸内環境を整えることは軟便だけではなく様々な健康に役立ちます。
適度な運動:シニア犬であっても適度な運動は必要です。運動は、ストレスの発散にも効果的です。ですが、シニア犬の年齢や体力、健康状態を観察して無理のない範囲での運動を心がけましょう。闇雲に走らせたり身体に負担がかかるようなことをしたりしないようにしましょう。そして、外で遊ばせてあげる時には気温にも十分に注意してください。
歯科検診:シニア犬は歯周病や虫歯になりやすいため注意が必要です。歯周病や虫歯で咀嚼が上手くできなくなると軟便や消化不良の原因になります。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを動物病院で行いましょう。
まとめ
シニア犬の軟便は、単なる食事の問題であるケースやストレスということもありますが、時に深刻な病気のサインということもあります。軟便はシニア犬にとってはよくあることのひとつですがその原因は多岐にわたります。そのため「軟便くらいそのうち治るだろう」と軽視するべきではありません。軟便をしている場合に飼い主さんができる対策としては、食事の変更やストレスの軽減、サプリメントの使用があげられます。また、愛犬の日常の様子に注意を払い、異変を感じたら早めに対処することが肝心です。
普段からストレスがない環境で食事にも注意して運動させてあげるといった予防をしていくのも大切です。